「好きなこと」と「天職」は別の話し。ヨガインストラクターが知っておくべき、ダルマ(義務)という生き方

365days

ヨガインストラクターを目指す方、あるいはすでに活動されている方から、よくこんな相談を受けます。
「ヨガは大好きなんですが、これを仕事にしていいのか不安です」
「インストラクターになったけれど、集客やSNS発信に追われて、ヨガ自体を嫌いになりそうです」
(ヨガが好きなら嫌いになって当然ではありますが)

現代社会では「好きなことを仕事にしよう」というメッセージが溢れています。
「好き」を追求すれば、すべてがうまくいく。情熱さえあれば、それは天職になる。
確かに、それは一つの真実かもしれません。
しかし、ヨガの古い教えの視点から見ると、少し違った風景が見えてきます。

今日は、あえて少し厳しい、しかし本質的なお話をさせてください。
「好きなこと」と「天職」は、実は別の話しであるということ。
そして、私たちヨガを伝える者が向き合うべき「ダルマ(法・義務)」についてです。

 

現代の罠:「好き」の奴隷になっていないか

まず、現代社会が抱える問題点から見ていきましょう。
私たちは「個人の欲求(Desire)」を何よりも優先すべきだという教育を受けてきました。
自分が何をしたいか、何が好きか、何にワクワクするか。
それを基準に職業を選ぶことが「正解」だとされています。

しかし、ヨガ哲学において、個人の「好き(ラーガ)」や「嫌い(ドヴェーシャ)」は、心を揺さぶり、苦しみを生む原因(煩悩)の一つとされています。
「好き」という感情は、実はとても不安定です。
体調が悪ければヨガをしたくない日もあるでしょう。生徒さんが来なければ落ち込むこともあるでしょう。
「好き」を原動力にしてしまうと、その感情が揺らいだ瞬間、仕事へのモチベーションも、自分への信頼も崩れ去ってしまいます。

さらに、「好きなことを仕事にしたのだから、常に楽しくなければならない」という強迫観念が、多くのインストラクターを苦しめています。
事務作業、集客、経理。ヨガ以外の業務に忙殺され、「こんなはずじゃなかった」と燃え尽きてしまう(バーンアウト)。
これは、「好き」と「仕事」を安易にイコールで結んでしまったが故の悲劇かもしれません。

 

天職とは「ダルマ(義務)」を果たすこと

では、ヨガ的な視点での「天職」とは何でしょうか。
それは、サンスクリット語で「ダルマ(Dharma)」と呼ばれます。
ダルマとは、「法」「義務」「秩序」、あるいは「本来の役割」と訳されます。

『バガヴァッド・ギーター』という経典の中で、戦士アルジュナは戦うことに苦悩します。「親族を殺したくない(好きではない)」からです。
しかし、クリシュナ神は彼にこう説きます。
「自分のダルマ(戦士としての義務)を遂行せよ。結果に執着せず、ただ為すべきことを為せ」と。

ここには「好きか嫌いか」という個人の感情が入る余地はありません。
天職とは、あなたが「やりたいこと」ではなく、あなたが「やるべきこと」。
あるいは、宇宙や社会全体から「求められていること」なのです。

ヨガインストラクターとしてのダルマとは何でしょうか。
それは、自分自身がヨガの実践を通して整い、その光を他者へとお裾分けすること。
目の前の生徒さんが少しでも楽になるよう、奉仕(セヴァ)すること。
そこに、あなたの「教えたい」「認められたい」というエゴ(自我)の好き嫌いは関係ありません。

 

「好き」は趣味でいい。仕事には「覚悟」がいる

誤解しないでいただきたいのですが、「好きなことを仕事にするな」と言っているわけではありません。
結果として、ダルマを遂行することが喜び(好き)になるのが理想です。
しかし、順番が逆なのです。

「好きだからやる」のではなく、「役割だからやる」。
この覚悟が決まったとき、仕事は「天職」へと昇華します。

例えば、生徒さんが一人も来ない日があったとします。
「好き」でやっている人は、「人気がないからダメだ」「楽しくないからやめよう」と思うかもしれません。
しかし、「ダルマ」として捉えている人は違います。
「今日は誰も来なかったけれど、スタジオを掃除して場を整えることが私の役割だ」
「この空いた時間で、自分の修練を深めろという天からの采配かもしれない」
そうやって、淡々と、結果に一喜一憂せず(カルマ・ヨガ)、為すべきことを続けることができます。
この「淡々と続ける力」こそが、プロフェッショナルとしての強さであり、本当の意味でのヨガの実践です。

 

才能と求められる場所(適所)を知る

また、天職を見つけるためには、自分の「資質(スヴァダルマ)」を客観的に知ることも大切です。
あなたは、アクロバティックなポーズを見せるのが得意ですか?
それとも、お年寄りの話にじっくり耳を傾けるのが得意ですか?
あるいは、解剖学的な知識を論理的に伝えるのが得意でしょうか?

「流行っているから」「映えるから」という理由でスタイルを選ぶのは、自分のダルマに反します。
自分に与えられたカード(才能・資質)を使い切り、最も誰かの役に立てる場所を探すこと。
それが、あなただけの天職への道です。

もしかしたら、あなたのダルマは、スタジオで教えることではなく、ヨガのウェアを作ることかもしれないし、ヨガ的な食生活を提案することかもしれません。
「インストラクター」という肩書きに固執せず、もっと広い視野で「自分が世界に対して何ができるか」を問い続けてみてください。

 

終わりに:エゴを超えて、ただの「管」になる

ヨガを伝えるということは、自分という個性を売り込むことではありません。
自分という存在を透明な「管(パイプ)」にして、ヨガという古代からの叡智を、そのまま他者へと流すことです。
そこには「私のヨガ」も「私の成功」もありません。

「好き」という小さなエゴの情熱を超えて、「役割」という大きな流れに身を委ねてみる。
そうした時、不思議と必要な人との縁が繋がり、仕事が自然と回り始めることがあります。
それが、天職に生きているというサインです。

どうか、焦らないでください。
そして、「好き」という感情に振り回されすぎないでください。
ただ静かにマットの上に立ち、今日、目の前に置かれた役割を、丁寧に果たすこと。
その積み重ねの先に、あなただけの美しいダルマの道が、きっと拓けてくるはずです。

ではまた。



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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、ENQAN(ヨガ)、JIQAN(内観)、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。