DAY 19 | キッチンの聖域化:「作る」と「食べる」に、意識を集中する

365days

「生命の源泉、しかし最も混沌とした場所」

私たちの家の中に、一つだけ、古代から変わらず、生命を養うための神聖な場所を選ぶとしたら、それは間違いなく「キッチン」でしょう。火を囲み、食物を調理し、家族や仲間と分かち合う。この営みは、人間という種が、その黎明期から、文化と共同体の中心に据えてきた、根源的な儀式です。

しかし、現代の私たちのキッチンは、この神聖な儀式の場というよりも、むしろ、家の中で最もモノが多く、最も混沌とした、効率性を追求するだけの「作業場」と化してはいないでしょうか。賞味期限切れのスパイス、一度しか使わなかった特殊な調理器具、景品でもらった統一感のない食器、便利さを謳うプラスチック容器。これらのモノたちは、私たちの調理スペースを狭め、思考を散漫にし、本来、喜びに満ちているはずの「作る」と「食べる」という行為から、マインドフルネス(今、ここに意識を集中すること)を奪い去っています。

今日のミニマリストゲームで、私たちは、この生命の源泉であるキッチンに、静けさと秩序を取り戻すための、大掛かりな浄化を行います。19個のモノを手放すという実践を通して、キッチンを、単なる作業場から、日々の営みそのものが瞑想となる、神聖な「聖域」へと、変容させていくのです。

 

禅の厨房(くいん)に学ぶ、行為と心の統合

禅宗の寺院には、「庫院(くいん)」と呼ばれる、食事を準備するための厨房があります。この庫院での仕事は、単なる調理作業ではなく、極めて重要な修行の一環と位置づけられています。食事を作る役職である「典座(てんぞ)」は、修行僧の中でも、特に徳の高い僧が務める、尊敬される役職でした。

鎌倉時代の禅僧である道元は、その著書『典座教訓』の中で、食事を作る上での心構えを、詳細に説いています。そこでは、食材を、まるで自分の目玉のように、慈しみ、大切に扱うことが教えられます。米を研ぐ一挙手一投足、野菜を切る包丁の一振り、そのすべてに、心を込め、仏道の実践として行う。そこには、効率やスピードといった、現代的な価値観は、入り込む余地がありません。

この禅の厨房の思想は、私たちに、キッチンという空間の、本来あるべき姿を教えてくれます。それは、行為と心とが、完全に統合される場所。野菜を洗うという行為を通して、自らの心の汚れも洗い流し、食事を作るという他者への奉仕を通して、自らの我(が)を滅していく。キッチンは、日々の生活の中で、最も手軽にアクセスできる、マインドフルネスの実践道場なのです。

しかし、モノで溢れかえったキッチンでは、この境地に達することは、極めて困難です。調理台が、出しっぱなしの道具や食材で埋め尽くされていれば、私たちの心もまた、散漫になります。必要な調理器具が、引き出しの奥で、他のモノと絡まり合っていれば、私たちの心には、苛立ちが生まれます。

キッチンを、ミニマルで、機能的な、美しい空間に整えること。それは、単なる美観の問題ではありません。それは、私たちの心を、穏やかで、集中した状態に保ち、「作る」と「食べる」という行為の、精神的な価値を、最大限に高めるための、環境設定なのです。

 

「作る」喜び、「食べる」感謝を、取り戻す

ミニマルなキッチンは、私たちの料理との向き合い方、そして、食べ物との関係性そのものを、変容させます。

1. 創造性の解放
DAY 16で探求したように、限られた道具は、私たちの創造性を刺激します。多すぎる調理器具は、私たちを、レシピ本に書かれた手順を、ただなぞるだけの「オペレーター」にしてしまいがちです。しかし、選び抜かれた、数少ない、質の良い道具だけが置かれたキッチンでは、私たちは、それらを駆使して、自らの工夫で、新しい料理を生み出す「クリエイター」となることができます。

2. 食材への敬意
整理整頓された冷蔵庫やパントリーでは、どこに、何が、どれだけあるかが、一目瞭然です。これは、食材を、使い切る前に腐らせてしまうという、最も悲しい浪費を防ぎます。一つ一つの食材の命を、最後まで、感謝していただく。この当たり前で、しかし忘れがちな感覚を、ミニマルなキッチンは、私たちに思い出させてくれます。

3. 食べるという瞑想
統一感のない、雑多な食器の中から、その日の気分や料理に合わせて、お気に入りの一枚を選び、丁寧に盛り付ける。このささやかな行為は、食事の時間を、単なる栄養補給から、五感で味わう、豊かな体験へと、変えてくれます。そして、洗い物が、数枚の皿と、いくつかの調理器具だけで済むとしたら。食後の片付けという憂鬱な時間もまた、静かな感謝の瞑想の時間と、なるかもしれません。

 

19の混沌を、秩序と静寂へ

今日のあなたのミッションは、この最も神聖であるべき場所に、深く分け入り、そこに巣食う19個の混沌の源を、取り除くことです。

1. 賞味期限という、過去からの便り
– 冷蔵庫、パントリー、スパイスラックを点検し、賞味期限が切れた食材や調味料を、数個、手放します。これは、過去の買い物の失敗を、潔く認め、未来へと進むための、第一歩です。

2. 一度きりの愛情、特殊な調理器具
– ワッフルメーカー、たこ焼き器、カクテルシェーカー。特定の機会にしか使わない道具を、見直します。もし、過去一年間、一度も使っていないのであれば、それは、あなたの生活の聖域を、不当に占拠しているのかもしれません。

3. 統一感を乱す、孤独な食器たち
– 欠けてしまったカップ、ペアの片割れを失ったグラス、景品でもらったマグカップ。あなたの食器棚の調和を乱す、ノイズとなっているものを、選び出します。

4. プラスチック容器という、増殖する謎
– 蓋が見つからないタッパー、変色してしまった保存容器。キッチンの中で、最も無秩序に増殖しがちな、プラスチック容器の山に、秩序の光を当てます。

5. 決して使わない、いただきもの
– 趣味に合わない高級な食器セット、使い道がわからない珍しい食材。感謝の気持ちと共に、それらを、本当に必要としている誰かの元へと、送り出してあげましょう。

これらの領域から、合計19個のモノを手放したとき、あなたのキッチンは、息を吹き返します。調理台の上に、広々とした空間が生まれ、引き出しの中では、道具たちが、安らかに呼吸を始めるでしょう。

その静かな空間に立つとき、あなたは、料理をすることが、食べるということが、いかに根源的で、喜びに満ちた、瞑想的な行為であるかを、再発見するはずです。キッチンは、聖域となる。そして、そこで作られた食事は、あなたの身体と心を養う、聖なる捧げものとなるのです。



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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、ENQAN(ヨガ)、JIQAN(内観)、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。