完璧主義をやめて「機能主義」へ。ヨガが教える、疲れない生き方と心のチューニング

自己啓発

完璧でありたい。
失敗したくない。
誰からも批判されたくない。

私たちは、そんな「完璧主義」という名の重い鎧(よろい)を、いつの間にか着込んで生きているのかもしれません。
仕事ではミスなく成果を出し、家庭では良きパートナーや親であり、SNSではキラキラした日常を発信し、身体はヨガで美しく整える。
そうやって全方位に「完璧」を目指せば目指すほど、心はすり減り、身体は強張り、生きることそのものが苦行のようになっていく。

今日は、そんな現代人を蝕む「完璧主義」の罠から抜け出し、もっと軽やかに、もっと楽しく生きるための「機能主義」という考え方について、ヨガの智慧を借りてお話ししたいと思います。

 

現代社会が生んだ病:完璧主義という名の呪い

なぜ、私たちはこれほどまでに完璧を求めてしまうのでしょうか。
それは、現代社会が「減点方式」で動いているからかもしれません。
一度の失言で炎上するSNS、小さなミスも許されない職場環境、効率と成果だけが求められる教育システム。
「正解」からはみ出すことが恐怖となり、私たちは無意識のうちに「欠落のない人間」を演じることを強いられています。

さらに、資本主義は私たちに「理想のイメージ」を絶えず浴びせかけます。
「もっと痩せれば幸せになれる」「もっと稼げば安心できる」「もっと能力があれば認められる」。
この「もっと(More)」という渇望が、今の自分を「不完全」だと否定させ、永遠に満たされない完璧さを追い求めさせるのです。

しかし、ヨガの視点から言えば、この世界に「完璧」な形など存在しません。
諸行無常(すべては変化する)の世界において、固定された完璧な状態を維持しようとすること自体が、自然の理に反する行為であり、苦しみ(ドゥッカ)の原因なのです。

 

ヨガにおける完璧主義の弊害

ヨガの練習においても、この完璧主義は大きな足枷となります。
「ポーズ(アーサナ)を教科書通りに美しくとらなければならない」
「雑念なく瞑想しなければならない」
そうやって「正しさ」に固執するとき、私たちは自分の身体の声を無視しています。

痛くても無理やりポーズを深めたり、他人と比べて落ち込んだり。
それはヨガをしているようでいて、実はエゴ(自我)を強化しているだけなのです。
本来、ヨガは「つながる(Yuj)」ためのものであり、自分を裁く(Judge)ためのものではありません。
完璧なポーズをとることよりも、不完全な自分の今の状態に気づき、それを受け入れることの方が、はるかに高度なヨガの実践だと言えます。

 

機能主義へのシフト:美しさより「働き」を見る

では、完璧主義の代わりに、どのような指針を持てばいいのでしょうか。
私が提案したいのが「機能主義(Functionalism)」という考え方です。

機能主義とは、「どう見えるか(Form)」ではなく、「どう働いているか(Function)」に価値を置くことです。

例えば、ヨガのポーズで考えてみましょう。
「前屈で手が床につかない」と嘆くのは、見た目(フォーム)にとらわれた完璧主義です。
一方、機能主義ではこう考えます。
「膝が曲がっていても、太ももの裏側が気持ちよく伸びていれば、それで機能している(OK)」と。
目的は「床に手をつくこと」ではなく、「背面のエネルギーライン(ナーディ)を刺激し、巡りを良くすること」だからです。
目的さえ果たされていれば、形はどうでもいい。これが機能主義の軽やかさです。

これは人生全般にも応用できます。
「完璧な妻/夫」という理想像(フォーム)を目指すと疲れますが、「家庭という場が、互いに安らげる機能を果たしているか」に目を向ければ、手抜きの料理も、散らかった部屋も、笑って許せるようになるかもしれません。
「完璧なキャリア」を目指すより、「自分が社会の中で心地よく機能し、誰かの役に立っているか」を感じる方が、仕事はずっと楽しくなります。

 

スピリチュアルな視点:魂は不完全さを楽しみに来た

少しスピリチュアルな視点も取り入れてみましょう。
私たちの魂は、なぜこの肉体を持って地球に生まれてきたのでしょうか。
それは「完璧であること」を証明するためではありません。
むしろ、不完全な肉体、思い通りにならない現実、カオス(混沌)とした人間関係の中で、感情を味わい、学び、成長するという「体験」をしに来たのです。

もし私たちが最初から完璧で、何もかもスムーズにいってしまったら、魂にとっては退屈極まりないでしょう。
失敗も、挫折も、コンプレックスも、すべては魂が成長するための「機能的なプロセス」です。
「この不完全さこそが、私の魂のオリジナルな特徴(個性)なのだ」と捉え直したとき、私たちは自分自身を許し、愛することができるようになります。

 

完璧主義を手放すためのヨガ的アプローチ

1. 「足るを知る(サントーシャ)」の実践
今の自分、今の環境、今あるものに満足すること。それは諦めではなく、すでに持っている豊かさに目を向ける積極的な肯定です。

2. 結果(フルーツ)への執着を手放す
『バガヴァッド・ギータ』の教えにあるように、行為そのものに集中し、その結果(成功か失敗か、賞賛されるか否か)には無関心でいること。やるだけのことはやって、あとは宇宙(大いなる意思)にお任せするスタンスです。

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3. カオスを受け入れる
生活の中のちょっとした乱れ、計画通りにいかない出来事を、「まあ、こういうこともあるか」と面白がってみる。秩序(コスモス)だけでなく、混沌(カオス)もまた生命のエネルギーの現れだと知ること。

4. 「機能しているか?」と問いかける
悩んだときは、「これは見た目を気にしているのか? それとも機能の問題か?」と自問してみましょう。機能していれば、それで十分(Good Enough)なのです。

 

終わりに:ポンコツなままで、最高に機能する

完璧な人間なんていません。
私たちはいわば、全員がどこか欠けた「ポンコツ」な存在です。
でも、その凸凹があるからこそ、誰かと手を取り合うことができ、誰かの欠けを補うことができます。
完璧な球体は、ツルツル滑って誰とも繋がれませんが、歪な石垣はしっかりと噛み合って城壁を支えることができます。

完璧主義という重い鎧を脱ぎ捨てて、機能主義という軽やかなシャツに着替えましょう。
格好悪くてもいい。泥臭くてもいい。
あなたが笑顔で、健やかで、あなたらしく機能していれば、それが宇宙にとっての「完璧」なのです。

ENGAWA STUDIOでは、ポーズの美しさなんて誰も気にしていません。
ただ、あなたがあなたとして、心地よく呼吸できているか。
それだけを大切にしています。
完璧を手放して、ただの人間(Human Being)に戻る時間を、一緒に過ごしてみませんか。

ではまた。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。