阿字観瞑想

阿字観瞑想は真言宗に伝わる瞑想法です。

真言宗は密教と呼ばれるように門外不出の内容なのですが、

この阿字観瞑想だけは在家の人も仏への道を歩めるようにと公開されております。

阿字観、月輪観、阿息観という3つからなる阿字観瞑想をぜひご堪能ください。

 

阿字観瞑想体験

阿字観瞑想は在家の人にも公開された瞑想なため、誰でも受けることができます。

阿字観瞑想は阿字観、月輪観、阿息観という3つを一緒にまとめて阿字観瞑想と呼ばれます。

真言宗では大日如来を本尊しており、この大日如来が宇宙の根本としております。

大日如来を表してるのが、阿という字(梵字)になります。

宇宙の根源、自身の根源にある”阿”と一体となっていくのが阿字観瞑想です。

04阿字観お軸

阿字のお軸

03月輪観お軸

月輪のお軸

 

阿息観は、「あ〜〜あ〜〜」と声を出すことで阿字と一体となります。

月輪観は、月の輪を広げて拡張していくことで宇宙と一体となります。

阿字観は、阿字のお軸を見ることで、そのまま阿字と一体となる瞑想となります。

正式な指導者の元でしか受けられないので、ぜひこの機会に体験されてみてください。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

参考記事:阿字観、月輪観という瞑想はどんなものなのですか?

 

オススメの人

  • ヨガだけでなく瞑想もやりたい人
  • マインドフルネスではない仏教の瞑想を知りたい人
  • 新しい”ところ”に行きたい人

 

阿字観瞑想の源流

阿字観瞑想の起源を辿ると、平安時代初期に活躍した稀代の天才、弘法大師空海(くうかい)に行き着きます。空海は、遣唐使として唐に渡り、青龍寺の恵果和尚(けいかかしょう)より密教の奥義を授かり、日本に真言密教を伝えました。真言密教とは、大日如来(だいにちにょらい)を本尊とし、宇宙の真理そのものである仏と一体化することを目指す教えです。その教えは、複雑な儀軌(ぎき:儀式の作法)や観想(かんそう:特定対象を心に思い描くこと)、そして真言(しんごん:仏の真実の言葉)を重視します。

阿字観は、この真言密教における最も代表的かつ重要な瞑想法の一つとして位置づけられています。その歴史的背景には、インドで発祥した仏教が、中央アジア、中国、チベットなどを経て、多様な文化や思想と融合しながら発展してきた「大乗仏教(だいじょうぶっきょう)」の流れがあります。特に、7世紀頃からインドで顕著になった密教(タントリズム)は、宇宙を一つの生命体と捉え、そのエネルギーと一体化することで即身成仏(そくしんじょうぶつ:この身このままで仏になること)を目指すという、ダイナミックな思想を持っていました。空海が伝えた真言密教も、この流れを汲むものです。

当時の日本は、国家鎮護や個人の現世利益を願う仏教が主流でしたが、空海は、より普遍的で深遠な宇宙観と、それを体得するための具体的な修行法としての密教を体系化しました。阿字観は、その体系の中で、誰もが宇宙の根源と繋がり、自らの内に仏性(ぶっしょう:仏としての本性)を見出すことができる道として示されたのです。

 

阿字観瞑想の核心にある思想

阿字観瞑想を理解する上で欠かせないのが、「阿字本不生(あじほんぷしょう)」という根本的な思想です。これは「阿字は本来生じない」という意味ですが、一体どういうことでしょうか。

ここでいう「阿字(あじ)」とは、梵字(ぼんじ:古代インドで用いられたサンスクリット語を表記するための文字)の第一字母である「अ(ア)」のことを指します。「ア」の音は、口を自然に開いた時に発せられる最初の音であり、全ての音の始まり、すなわち万物の根源、宇宙の生命力そのものを象徴するとされています。密教では、この「阿字」こそが宇宙の真理であり、大日如来そのものであると捉えます。

そして「本不生」とは、「本来、生じたものではない」という意味です。これは、万物は縁起(えんぎ:様々な原因や条件が相互に関係しあって結果が生じること)によって仮に現れているだけで、固定的な実体として「生まれた」わけではない、という仏教の基本的な世界観「空(くう)」の思想と深く結びついています。インドの龍樹(ナーガールジュナ)によって大成された中観(ちゅうがん)思想における「空」は、何もない「虚無」を意味するのではなく、あらゆるものが固定的実体を持たず、常に変化し、相互に依存し合っているという真理を指します。

つまり、「阿字本不生」とは、宇宙の根源であり、万物の生命そのものである「阿字」は、何ものにも依存せず、生じることも滅することもなく、永遠に存在し続ける絶対的な真理である、という宣言なのです。この思想は、私たちが日常的に囚われている「生まれた」「滅んだ」「有る」「無い」といった二元的な捉え方を超越し、万物が本来的に清浄であり、仏性そのものであるという視点へと私たちを導きます。

阿字観瞑想は、この「阿字」を観想することで、私たち自身が「阿字」そのものであり、宇宙の生命と一体であること、そして本来、生滅変化を超えた存在であることを体感的に理解しようとする試みなのです。それは、言葉や概念による分節化以前の、ありのままの世界との出会いとも言えるでしょう。

 

なぜ、現代社会で阿字観瞑想なのか?

現代社会は、かつてないほどの豊かさと便利さを享受する一方で、多くの人々が言いようのない閉塞感や精神的な渇きを感じています。この時代において、阿字観瞑想のような内省的な実践が持つ意義は、計り知れないほど大きいと言えるでしょう。

情報過多とデジタルデトックスの処方箋:私たちは日々、膨大な情報に晒され、脳は常に処理モードを強いられています。その結果、思考は断片的になり、深い集中や静かな思索の時間が奪われがちです。瞑想は、意識的にデジタルデバイスから離れ、情報という名の「ノイズ」から心を守るための、積極的な休息時間となります。それは、情報という濁流の中で、自分自身という確かな「陸地」を見出す行為です。

「私」との対話を取り戻す:SNSなどを通じて常に他者と繋がっているようでいながら、実は自分自身の内なる声に耳を傾ける機会は驚くほど少ないのではないでしょうか。瞑想は、外に向いていた意識を内へと反転させ、普段は気づかない自分の感情や思考のパターン、そして本当に大切にしたい価値観と向き合うための、貴重な「自己との対話」の時間を与えてくれます。

共感疲労からの避難と心の安定:他者の喜びや悲しみに容易に触れられるようになった反面、過度な共感は「共感疲労」を引き起こし、心を消耗させることがあります。阿字観瞑想における「阿字本不生」の視点や、宇宙との一体感を観想することは、個々の出来事に一喜一憂する小さな自己から離れ、より大きな視点から物事を捉え直す助けとなります。それは、感情の波に溺れるのではなく、その波を静かに見つめることができる、心の「安全な港」を築くことに繋がります。

創造性と直観の泉を掘り当てる:心が静まり、思考の雑音が消えたとき、ふと新しいアイデアが閃いたり、問題解決の糸口が見えたりすることがあります。瞑想は、論理的な思考だけでは至らない、直観やひらめきが湧き出るための「創造の泉」を養います。それは、既存の枠組みから自由になり、物事の本質を見抜く洞察力を磨くことにも繋がるでしょう。

身体感覚という羅針盤の再起動:デスクワークやスクリーンタイムの増加は、私たちの身体感覚を鈍化させがちです。瞑想中の呼吸への意識や、坐るという身体的な経験は、忘れかけていた身体の声に気づき、心と身体の調和を取り戻すきっかけとなります。身体は、私たちがこの世界で生きるための最も正直な羅針盤なのです。

分断の時代に「繋がり」を再発見する:現代社会は、様々なレベルでの分断や孤立が問題視されています。阿字観瞑想における「阿字」が万物の根源であるという思想は、私たち一人ひとりが孤立した存在ではなく、目に見えないレベルで全てと繋がっているという感覚を呼び覚まします。それは、他者への共感や慈しみの心を育み、より調和のとれた関係性を築くための基盤となり得ます。

「ねばならない」からの解放と自己肯定:社会的な期待や「こうあるべき」という規範に私たちはしばしば縛られています。瞑想は、そうした外的な価値基準から一時的に離れ、ありのままの自分自身を静かに見つめ、受け入れる時間を与えてくれます。「阿字本不生」の教えは、私たちの本質が、何かを達成したり、何者かになったりすることで価値が決まるのではなく、ただ「在る」ことそれ自体で尊いのだというメッセージを伝えています。

 

阿字観瞑想がもたらす心身への恩恵

阿字観瞑想を実践することで、私たちはどのような恩恵を受けることができるのでしょうか。それは、心理的、精神的、そして身体的な側面に及びます。

心理的効果
・ストレスの軽減:深い呼吸と集中により、交感神経の興奮が鎮まり、副交感神経が優位になることで、心身のリラックス効果が得られます。日常のストレスから解放され、心の平穏を取り戻す助けとなるでしょう。

・集中力の向上:一つの対象に意識を向け続ける訓練は、集中力を高めます。これは、仕事や学習など、日常生活の様々な場面で役立ちます。
自己肯定感の向上:「阿字本不生」の思想に触れ、自らの内なる仏性を感じ取ることで、ありのままの自分を肯定する力が育まれます。

・感情の安定:自分の感情を客観的に観察する習慣がつくことで、感情の波に振り回されにくくなり、精神的な安定が得られます。

精神的効果
・自己理解の深化:内なる静寂の中で自分自身と向き合うことで、普段は意識しない自分の思考パターンや感情の源泉に気づき、自己理解を深めることができます。

・慈悲の心の涵養:宇宙の生命との一体感を体験することで、他者や生きとし生けるもの全てに対する共感や慈しみの心が自然と育まれます。

・「空」の智慧の体得:万物が相互に依存し合い、固定的な実体がないという「空」の思想を、知識としてではなく、体感として理解する手がかりを得られます。これにより、執着から解放され、より自由な生き方が可能になるかもしれません。

・「今、ここ」への意識:過去の後悔や未来への不安から離れ、現在の瞬間に意識を集中するマインドフルネスな状態を養います。

身体的効果
・呼吸の安定と深化:腹式呼吸の実践により、呼吸が深く、穏やかになります。

・血圧の安定:リラックス効果により、血圧が安定する効果も期待できます。

・免疫力の向上:ストレス軽減や心身のバランスが整うことで、免疫機能の向上にも繋がる可能性があります。

これらの効果は、一朝一夕に得られるものではありません。しかし、継続的な実践を通じて、少しずつ、しかし確実に、私たちの心と身体、そして生き方そのものに変化をもたらしてくれるでしょう。それは、外側に何かを付け加えるのではなく、元々私たち自身が持っている内なる力と調和を取り戻すプロセスなのです。ぜひ阿字観瞑想を体験されてみてください。

 

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